帝人フロンティアのプロジェクト
企業人としてのサステナブル意識
「THINK ECO®」を実現するための組織のあり方
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WHAT‘S YOUR FRONTIER?
「美しい地球環境と豊かな未来」
その言葉を前に、あなたはどんな地球、どんな未来を想像しますか。
一人ひとりの思いや考えは、類似する部分もあれば異なる部分もあるでしょう。その思い描く地球環境と未来のために、私たちは考え続け、行動し続けていく必要があります。
近年、地球環境のさまざまな問題に対し、世界各国各企業がその解決に向け動き出しています。帝人グループでは、2030年までに30%のCO2排出量削減、2050年までにカーボンニュートラルの実現、という目標を掲げています。帝人フロンティアは、その実現とともに、私たちの思い描く未来への一歩として、環境戦略「THINK ECO®」を設定し、その実行手段としてサステナビリティ戦略推進部を発足しました。企業として、個人として、多様な考えがある中で、どうすれば「THINK ECO®」を実現できるのか。
環境から考えるWHAT‘S YOUR FRONTIER?
※当社のサステナビリティに関する取り組みはこちら(←クリック)
※対談内容は2021年9月時点のものです。 -
PROJECTS MEMBER
衣料素材本部 テキスタイル第一部 第一課
兼 技術・生産本部 サステナビリティ戦略推進部曽根勝 周平産資営業企画部 企画課
兼 技術・生産本部 サステナビリティ戦略推進部小林 令奈
意識できているかは、行動に表れる
サステナビリティ戦略推進部ではどのような活動をされていますか。
- 曽根勝
- 業界で生き残るための戦略やアクションプランを策定しています。現在、繊維業界における環境の課題はとにかく山積みです。ゴミの問題もそうですし、海洋生物の生態系を脅かすマイクロプラスチック問題もありますよね。たくさんある課題の中、何を重点的に優先的に解決していくのかを定めて推進していくことが、サステナビリティ戦略推進部の基本的なミッションだと認識しています。
曽根勝さんは営業、小林さんは営業企画と兼任ですね。どのようなメンバー構成なのでしょうか。
- 小林
- 専任メンバーに加え、技術、企画、営業、広報などさまざまな部署からの多くのメンバーが兼任で活動しています。企業活動としては販売や利益に結び付けることも重要ですから、現場との協業が重要です。お客様や社内の人と一緒になって「THINK ECO®」を実現することが目的です。
- 曽根勝
- 複雑な問題に対応していくには色んな考えや行動を取り入れていくのも重要ですからね。
確かに大きな問題ですから、多くの力が必要ですね。ところで、お二人について話をフォーカスしたいのですが。
- 小林
- 個人的なことですと、曽根勝さんにずっと聞きたかったことがあるんですが。
- 曽根勝
- え、なんですか!?
- 小林
- 以前から環境への関心がかなり高いようですが、なぜなのかなと思っていました。何かきっかけはありますか。
- 曽根勝
- 何を聞かれるかと思いましたが、私がいつ環境を意識しはじめたか、ですね。
就活していた頃に遡るのですが、当時帝人グループが開発した循環型リサイクルシステム「エコサークル®」に関心を持ったことが一つのきっかけです。繊維事業をけん引する会社の中ではまだどこもやっていない領域だったので、なんて革新的なチャレンジなんだろうと驚いたのを覚えています。
入社してからは、あるアウトドアブランドの営業を7年間担当していたのですが、そこから受けた影響も大きいですね。そこでは、従業員一人ひとりの行動や判断基準に「地球を守るため」という考え方が浸透していて、ランチに何を食べるかにしても、環境負荷が少ないという観点でメニューを選んでいたんです。環境問題に対する理解が深いというだけでなく、普段の行動にもそれが落とし込まれているのを目の当たりにして、素晴らしいなと思いました。
- 小林
- 入社前から関心が高かったなんて、素晴らしいですね。
- 曽根勝
- 小林さんは、いつから関心を持たれたのですか。
- 小林
- お恥ずかしいことですが、結構最近のことです。プライベートや仕事で考える機会はあっても、深くは考えていなかったと思います。正直なところ、グレタさんの存在を知ったことが大きいです。こんなに若い方が環境について真剣に考えて訴えているのに、大人の自分が考えたり行動を起こしたりしなくていいのかと。それで自分の子どもや同じ世代の暮らしに目を向けてみると、私自身の子ども時代と比べて、気候や大気汚染による屋外活動の制約が増えている気がします。この子たちが親になる時、その子どもたちはどんな環境で生活をしているのだろう、その次の世代はどうだろう、と未来を想像するようにもなりました。そして、未来のために役立つことをしたいという思いとともに、帝人フロンティアの力を活かしてやれることを見つけたい、という考えになっていきました。
- 曽根勝
- 関心の高い人の活動や行動を見ることで、自分ごとに置き換えられるようになったんですね。
- 小林
- はい。自分のためではなく、誰かのためにやる、やっていかなければいけない、という使命感のようなものを感じ始めました。
社会貢献と利益を共存させるための軸を持つこと
お二人ともそれぞれのきっかけと思いがおありなのですね。
- 曽根勝
- ほんとそれぞれですね。ただ、私たちがこうして今、意識していても、いざ人を巻き込もうとすると難しいと感じることはありませんか?「リサイクル原料の割合を増やそう」とか、「水の使用量を削減しよう」といった目標を掲げても、お客様からニーズがなければなかなか進んでいかない実態もありますよね。
- 小林
- 確かにその難しさは感じています。目標や計画を発信しただけでは相手に届きませんし、結局のところ、社内にもお客様にも共感していただかなければ進んでいかないですから。その共感をどうしたら得られるのかというのが、一番の課題ではないかという気がしています。
- 曽根勝
- そうですね、それぞれの自発的な行動につながっていくのが理想です。
- 小林
- お客様へ積極的に提案を始めている営業もいますので、それに応えられる仕組みと実績を作っていきたいですね。取り掛かれることからどんどんやっていければいいですが、実際にはそういう動きが出来ていないことも多いです。
- 曽根勝
- 仕組みの問題もありますよね。利益で業績が判断される中で、短期的な利益を優先してしまう気持ちはよくわかります。だからこそ、評価指標を増やすことも、意識を浸透させる方法の一つだと思います。
- 小林
- 人間の欲求としては、やっぱり認められたいですからね。
- 曽根勝
- 日本企業は海外の企業に比べて、まだまだ企業理念やフィロソフィーの浸透度が低いと感じることもあるのですが、当社では、「THINK ECO®」に従業員が共感して、その活動を通じて起こした行動に誇りを持てるような軸ができるといいですよね。例えば、会社に損失を与える可能性があるが理念や社会貢献を考えるとやるべきだという判断に迷うようなことも、迷わずに正しい方を選んでいけるような、行動に芯が通っている組織でありたいと思います。多少ネガティブな面があったとしてもそれが考慮された判断であれば、正統な評価につながる仕組みを構築していきたいですね。
- 小林
- そうですね。環境問題への取り組みに限らず、利益と相反する行動に対して判断しなければならない局面で必要な視点だと思います。メーカー機能も商社機能も持ち合わせ、事業が多岐に渡っている帝人フロンティアにとっては、そういう発想があることで全体がまとまりやすくなるかもしれないですね。
個人から意識を変えていくのはむずかしいものでしょうか。
- 曽根勝
- そんなことはないです。小林さんのように親になったタイミングだったり、地元が災害を受けたニュースを聞いたりなど、身近な出来事から問題意識が生まれるものだと思っています。
- 小林
- ただ、考えていても、行動に結びつくかは、やはりどれだけ意識的に行動しているかによりますよね。私はまだまだ行動に結びついていないと思います。
- 曽根勝
- 世の中が便利になりすぎたことも挙げられますよね。今は環境負荷をかけている状態が当たり前の日常になっているので、「エコ=生活が不便になる、我慢する」といったネガティブな面が前面に出てきてしまう。ただ、その当たり前の生活がどのような環境下で成り立っているかということを知るだけでも、感じ方が変わってくると思います。ひとまず関心を持つきっかけづくりとしては、環境問題についてのオンラインカリキュラムを作って社内向けに配信するのもいいと思っています。自発的になってもらえるような発信を心がけていきたいです。
- 小林
- まずはそうですね。さらに行動につなげていくには、持続的に考えていくことが重要だと思います。短期的なこととしてではなく、日常的に考え続けられるお手伝いをしていくことも、私たちが担う役割の一つだと思っています。
- 曽根勝
- 私たちの発信力にかかっていますね。これから頑張っていきましょう!
一人ひとりの小さな行動の積み重ねが、大きな力に変わる
先ほど曽根勝さんのお客様の会社で、従業員が理念のもとにいきいきと働かれているというお話がありましたが、みなさんどのような思いで働いていらっしゃるのですか?
- 曽根勝
- 僕の印象ですが、自分の仕事が世界のため、社会のためになっている実感を持ちながら働けているのかなと思います。どんな仕事でも、自分の業務が世界にインパクトを与えていると感じられたら、意識が高まって能動的になっていきますよね。周りも巻き込んだ、いいサイクルができていく。人に教えてもらった仕事を淡々とこなすのとはまるで違います。
- 小林
- 一人ひとりが実感できているかがポイントですね。私は、営業企画という業務に携わるまではメーカーの営業職でした。担当製品があるのですが、当時はそれをいかに採用してもらえるかという思考だったように思います。営業企画に異動し、営業活動や利益に貢献できることであれば自由に考えてみて、と上司に言われ、視野が広がりました。誰かの役に立てることだと思えるだけで、いろんなアイデアが浮かんでくることを実感しています。
- 曽根勝
- メーカー兼商社だからこそできる世界への貢献、地球への貢献を実感しながら働けるようになるといいですね。例えば、ポリエステルは土に還らないのでプラスチックゴミ問題と関連しますが、メーカーの技術力と商社のコネクションの力を発揮して解決できるようなビジネスを生み出せれば、当事者はもちろん、会社全体の喜びにつながると思います。先輩がやれば後輩もその背中を見て働けるだろうし、そういった環境の後押しが自分にできたらなと思います。
- 小林
- 帝人フロンティアはとても活気があるので、それを活かして、推進力にできるといいですよね。
- 曽根勝
- 確かに元気な人が多いですね。若手とも環境に関して議論を繰り広げていますが、たくさん質問を考えてきて、意見もしっかり伝えてくれて、本当にありがたいことだと思います。今まさに会社が環境の方に大きく舵を切って進んでいくという中で、熱い気持ちを持った人が一人でも増えてくれると心強いです。
- 小林
- そうですね。熱い思いが伝わると、こちらもいい影響をうけますね。思ったことや分からないことをちゃんと伝えられる素直さも必要な気がして、立場関係なく、それができる人っていいなと思います。知らないことは知ろうとするというか。地球環境や経済の未来は、思い描いたとしても、何が正解かはわからないですからね。批判を恐れず議論して、みんなで歩み寄ることを考えていけば、正しい方向に向かっていけるのではと思います。
- 曽根勝
- 繊維業界は課題が多いからこそ介入する余地がたくさんあります。帝人フロンティアは繊維の技術力には間違いない自信を持っていますし、商社の観点で考えても、アパレル全体のバリューチェーンを俯瞰しながら関連企業を巻き込んでいくパワーを持っているので、やれることはたくさんあると思います。そこに我々サステナビリティ戦略推進部が重要な役割を果たすと思うと、やりがいがありますよね。
- 小林
- 今は環境対応を起点にしていますが、サステナブルの領域は環境だけではありませんからね。何かしら問題意識を持っている人が、社会のために会社を成長させるヒントをくれる気がしています。最初から大きいことである必要はなく、むしろ一人ひとりが置かれたフィールドの中で、考えてみることが重要なのかなと思います。身近な問題として考え、積み重ねていくことが、これからの帝人フロンティアの大きな力になると思っています。
- 曽根勝
- みんなが誇りをもって働けるような会社にしていきたいですね。
- 小林
- ほんとにそう思います。
なんだか、話が膨らんできましたね。もっと色々話したいですが、今日はこのあたりにしておきましょうか。
- 曽根勝
- はい、また是非機会をつくりましょう!
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