帝人フロンティアの人々
ゴールがないものでも、選択肢が多いほど質は高まり、面白くなる
技術・生産本部 技術開発部
イノベーション開発課
中野 紀穂
ウェアラブルセンシング開発担当。 新卒で帝人株式会社に入社、アラミド繊維開発のキャリアを経て、帝人フロンティアに出向後、転籍。2021年4月に育児休職から復帰し、現在に至る。
WHAT‘S YOUR FRONTIER?
私たちは変わりゆく社会の困りごとに対して「せんい」でソリューションを提供します。
私たちが目指す開発には、明確なゴールがありません。常に自分との闘いですが、発見や証明の積み重ねは続けるほどに面白さを増し、どんどんのめりこんでいくものです。
7年間で帝人グループを2社経験して思うのは、研究は私の人生そのものであり、切り離せない生涯のテーマだということ。
これからも健康的に研究を続けられるように、ワークライフバランスはとても大切にしています。
チームとの時間、一人の時間、家族との時間。バランスを保てる制度や環境があるから、今日も私は安心して、自分との闘いに挑めるのだと思います。
研究開発の質はコミュニケーションがカギ
新卒で帝人株式会社に入社して約2年間、「アラミド」という熱に強い繊維を使って、消防服の研究開発を行っていました。その後、ポリエステルを研究するために帝人フロンティアに出向していたのですが、その時に会社全体の構造改革があり、転籍をして今ここにいます。研究テーマは途中で変わることもありますが、基本的にはずっと研究開発に携わっています。研究開発といっても、フラスコを振って実験しているようなイメージとは少し違っていて、調整したり、指示して確認したりといった、ヒト・モノ・コトのマネジメントと言った方がしっくり来るかもしれないですね。自分が実際に作るのではなく、目標達成のための道筋や評価方法を考え、研究所や工場へ指示出し・納期管理などが主な仕事です。それにはまず、中期計画を作るところから始めるのですが、大体3~5年で実施できる案を、営業と技術とで話し合って決めています。その期間で上市まで持っていくのは簡単なことではありませんが、メーカー機能と商社機能を併せ持つ帝人フロンティアだからこそ実現できている点ではありますね。まとう化粧品「ラフィナン®」という製品の開発をした際は、会社として化粧品の評価を行うノウハウがなかったので、その方法や基準から考えたりもしました。
目的、ゴール、基準が決まった後はスケジュール通りに進めていきますが、コミュニケーションには毎回苦労しますね。中国の研究所とは遠隔でやり取りをしていますが、指示してやってもらう、を繰り返すだけというような単純なものではありません。相手がいかにモチベーションを高く保って取り組んでもらえるかを意識したコミュニケーションがカギになってきます。例えば「こういう実験方法でやってください」って相手に伝えるとしますよね。相手のモチベーションが低いと、言った通りの対応はやってもらえても期日ギリギリに上がってきたりして、コミュニケーションもそこで終わってしまいます。しかし、相手がやる気を出してくれていると、指示に対して「それならこっちの方法がいいよ」とか「こんな予測が立てられるからここの水準を増やしてはどう?」といったような、アドバイスをもらえるんですよ。開発は試行錯誤の繰り返しなので、コミュニケーションが円滑になることによる研究全体へのインパクトは非常に大きいんです。やはり人がやっていることなので、スムーズにいかない時は誰しも息が詰まってしまいますからね。私自身、もともと人と話すことが得意な方ではありませんでしたが、そういった経験の中でコミュニケーションの大切さを理解できるようになってからは、徐々に抵抗がなくなっていきましたね。なるべく中国語を使って話すようにするとか、小さなことでもこまめに報告するとか、まず自分から歩み寄ることを意識していきました。それから、出張へも積極的に行くようにしていました。直接会って話すと距離も縮まりやすいですからね。今はコロナ禍で完全に遠隔業務になってしまいましたが、以前までの心がけが功を奏して、遠隔だけでもスムーズにコミュニケーションできるようになりました。
専門外の分野でも、環境を活かすことで闘える
半年前に育休から復帰して、ウェアラブルセンシングの研究開発に取り組んでいます。バイタル情報から健康を管理する技術なのですが、会社としても‘モノ’ビジネスから‘コト’ビジネスにシフトしていくための新しい試みです。繊維製品とは違って電気や機械の知識が求められるので、専門外の自分にできるのかという不安はありましたが、今回の分野に特化したグループ会社と一緒に動いていることで勉強になっています。
一つの会社の枠を越えたプロジェクトなので、より多くの関係者と慎重に進めなければなりませんが、その一方で、ちょっと思いついたことがすぐに実験できる環境なので動きやすいですね。研究職は営業職のように売上を求められるわけではなく、日々のトライアンドエラーの積み重ねなので、モチベーションはそういうところにあったりするんですよね。
ライフプランを豊かにしてくれる会社
研究を計画通り達成したいという一方でもう一つ大切にしているのは、ワークライフバランスを実現することです。帝人フロンティアにはフレックス制度や在宅勤務制度があるので、子育てと両立しながら今まで通りの仕事ができるという点はありがたいですね。私は定年まで今の仕事を続けられたらいいなと思っていますが、女性だと出産を機に難しくなる面もあるだろうなと想像していました。ですが、そのような制度を使うことによって今のところは影響なく働けています。
それから、もし配偶者が海外転勤になった場合は「配偶者海外転勤同行休職制度」を使って、配偶者と海外へ行っている期間は休職することができます。将来、私も夫も海外転勤になる可能性はありますから、キャリアを一時中断しても、復職できる制度が用意されているのは安心ですね。
このような制度が整っていることでプライベートのことも考えながらライフプランが立てられますし、何より人生の選択肢が増えることが嬉しいですよね。
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